
第1回 “輝く子どもの育ち方”研究ラボ 勝屋久さん×高須賀宣さん
2011.10.2.

子どもたちはどのような環境で育てれば良いのか?
トップレベルの起業家と元IBM Venture Capital Group日本代表。数々の実績を残した彼らと、和える代表矢島里佳の対談が実現しました。
日本の良さをもう一度考え、伝えていく本インタビュー企画。彼らの大切にしている価値観は何なのか?
彼らの子ども時代に迫り、彼らの輝きつづける理由を解き明かします!
——登場人物——
勝屋久さん:勝屋久事務所代表・プロフェッショナルコネクター
(元IBM Venture Capital Group日本代表)
高須賀宣さん:サイボウズ創始者
矢島里佳:株式会社和える代表取締役
田中嘉:株式会社和えるインタビューアー
“なになにしてはいけない”ってたくさん言ったら、子どもはなにもできなくなりますよね!
高須賀
「だめだよだめだよは、だめだよ」
——子どもの育て方について、笑いながらも真剣に語るのは高須賀宣さん
高須賀
「都会と田舎だと田舎のほうが成功する人が多いっていうのはさ、子どもを教育するにあたって“なになにしてはいけない”というのをどれだけの数言うかってことですよね。遅くまで遊んじゃ行けない、あそこで遊んじゃ行けない、これしちゃいけない・・・。いけないいけないっていってたら、それはいけない子になりますよ。」
勝屋
「そうなんですよね。確かに“いけない”ってたくさん言ったら子どもは何もできなくなりますよね!」
——短パンにTシャツという気さくな姿で答えるのは勝屋久さん
高須賀
「田舎にいると、なになにしてはいけないというのがあまりないんですよ。東京は危険が多すぎてやむをえないっていうのはわかるんですけど、子どもの教育上は良くないですよね。」
矢島
「そうなんですよね。」
勝屋
「まぁ俺は危険な東京にいたけど、うちの親がなになにしてはいけないって言わなかったんですよ。悪い事は結構やってたけどね(笑)。でも塾行けとかもなかったんです。親父が「パチンコいくか〜」みたいな!親父、教師なのに(笑)」
———着物姿の矢島里佳さんとリュックを背負った勝屋久さん、出会いは約3年前。
田中
「ところで3人はどのように出会ったのですか?」
勝屋
「だいたい3年前だったかな、ちょうど僕が漆塗り職人に会うツアーをしていたときにサンプラザ中野くんから突然電話がかかってきて、「勝屋さん!ぜひ紹介したい人がいる、なでしこりかちゃんって言うんです!」って言われたんです。それで「じゃあ会いましょう!」となって会ったんですよね。それがきっかけでした。」
矢島
「そうでしたね!私が大学3年くらいのときでしたよね。」
勝屋
「早速、慶應大学に会いにいったら、出で立ちが着物で「すげー!」って思ったのが第一印象。それでお話ししたら盛り上がったんですよ。」
矢島
「私もIBMの勝屋さんとしか聞いていなかったのでスーツの人が来るんだろうと思ったら、なんとリュックを背負った私服の人が現れて(笑)。そしたら1時間もしないうちになんか盛り上がっちゃったんですよね!」
——取材させていただいた場所はゲストお二人のオフィス“Ajito”という場所。
たくさんのお客さんが来るというこの場所の机の上には名刺の山。
辺り一面見渡せるガラス張りの窓の下には趣味というギターが並びます。
恵比寿のビルの一室で、笑いの絶えない対談が始まりました。
矢島
「初めて会ったときの私ってどんな感じでした?」
勝屋
「うーん、とにかく好奇心が旺盛で、輝いていましたね〜。あと、ちょっとしたらわかったのは、りかちゃんは感覚的なところもあるんだけど事業の話をするとちょっとスイッチが変わるんだよね。なにかを貫き通したいみたいなところを感じるんですよ。」
矢島
「そうだったんだ(笑)。」
勝屋
「その後、僕が開催した鯖江に行くツアーにりかちゃんも参加してくれて、りかちゃんと高須賀さんが出会ったんだよね。」
高須賀
「あー僕はまあ、もともと勝屋さんとは知り合いで、半分無理矢理勝屋さんに連れてかれたんですけどね(笑)。」
勝屋
「ははははっ」
高須賀
「でも勝屋さんは、そうやって本来会わないであろう人と人をつなげるのが仕事だからね。」
———素敵な大人に育てるには幼少期が重要
田中
「勝屋さんがそうやって人に興味をもって、人をつなげるようになったきっかけも幼少期にあったのでしょうか? 小さいころはどのように過ごされましたか?」
勝屋
「そうですね〜、完全に親の影響ですね。うちの両親はよくいろんな人を家に呼んで来てましたね。例えばあるとき、僕の小学校の先生が家にいたんです。なんでだろうと思ったら、僕の父親は先生をやっていて、その先生同士の勉強会で知り合ったから連れてきたって言ってて。もうびっくりですよね!(笑)。母は、巨人の星を描いた漫画家の川崎のぼるさんと仲良くなっちゃったりして。そうやって家にオモロい大人たちがいつも来ていたんですよね。
もう1つは、中学校の修学旅行のときですかね。修学旅行の夜に、友達同士本音で話していて、すごく“つながった感覚”があったんです。好きな人を打ち明けたりとか、言えないような話とか。みんなどんどん打ち明けていくんですよ。そういう普段は言えないような話をしたときに、みんなが深いところでつながった感覚になったんです。みんないいなー!つながってるなー!みたいな。
そういうことがきっかけで人に興味をもつようになったんです。」
高須賀
「おぉなるほどね〜、それは僕も初めて聞いた。」
矢島
「かっちゃんのルーツなんですね!こうしてかっちゃんが誕生したのかと思うと、すごく納得です!!」
田中
「高須賀さんはいかがでしょう?」
高須賀
「うん。僕は引っ越し人生だね。30歳までで一カ所の場所にいたのが平均すると1年半以下なの。今まで二十何回も引っ越したんですよ。これは僕のアダプティビティに影響を与えていますね。一方で人との関係性を軽視する傾向にあるんです。だから人に対して希薄って言われますよね。」
矢島
「でも、逆に言えば自分が強くいられると言うことですよね。」
高須賀
「まあそうとも言えますかね(笑)」
勝屋
「……え、じゃありかちゃんの幼少時代は?」
矢島
「私は、小さいときナーサリースクールにいく度に絵本を買ってもらっていたんです。その絵本に出てくるお姫様がたまらなく好きでしたね。それである日、家族でリカちゃんキャッスルにいったんですよ。あ、リカちゃんキャッスルってリカちゃん人形製造工場なんですけどね。工場がお城になっているんです!そこで「リカちゃんはお城もっているのか!私もお城もとう!」っていう人生の目標を立てたんですよね〜(笑)」
勝屋
「ははははっ」
高須賀
「あー、ちょっとイタい子だったんだね!(笑)」
矢島
「そうかもしれないですね(笑)」
(一同笑い)
———「宇宙をさがしても素敵な環境ってのはないんです。問題は本人がどう捉えるかということですよね。」
―大切にしている価値観について
田中
「ところで、みなさん大切にしている価値観ってありますか?」
勝屋
「“自分が幸せになること”かな。言い換えると自分が心からやりたいことをみつけてそれに突き進むということ。自分が幸せにならないと周りを幸せにはできないんですよ。」
高須賀
「“自分の枠組みをどう捉えるか”ということが大事なんですよね。
宇宙のどこを探しても素敵な環境ってのはないんです。会社でも、100パーセント満足できる会社ってないと思います。たとえ、別の会社に入ったとしてもキャスティングが変わるだけ。だから問題は、本人がどう捉えるか、ということですよね。自分のいる環境をオモロくする能力が問われてくる。
勝屋さんは前職でコンピュータ売れって言われていた。だけど、だんだんつまんなくなるわけです。それから人をつなげるというのを前職で始めて、それが前職での楽しさになったんだと思います。勝屋さんは、自分で自分の環境を面白くしたんですよね。」
勝屋
「うん、なるほど。」
高須賀
「どこへ行っても枠組みはあって、その枠組みをどう捉えるかが大切。環境を変えるのはescapeじゃないんです。」
「子どもたちって“本物”がわかるんでしょうね。」
田中
「ところで、和えるは、子どもたちに日本の伝統を伝えたいという想いで誕生した会社なのですが、次世代の子どもたちに伝統をつなぐにはどうしたら良いと思われますか?」
勝屋
「子どもの頃に日本文化をもっている人と会って、生の声を聴けばいいんじゃないですかね。やっぱり刺激的な人と接することが大事だと思います。」
矢島
「確かに、私もいろんな人と出会って、刺激をいただきながら今の自分がいる気がします。子どもたちってきっと“本物”を敏感に感じるんでしょうね。」
勝屋
「あ〜、そうかもね。」
田中
「なるほど。では“本物”って何なのでしょうね。」
「……。」
高須賀
「答えていい?(笑)僕が思うにそれは“自分に正直に生きているかどうか”だと思う。」
勝屋
「ほ〜」
矢島
「あ、私この間、職人さんに会いに行ったんです。その職人さんと話しているうちに「あ、この人嘘をつけない人なんだな」って思ったんですよね。「本物」って自分に嘘をついていない、本当に正直な人ということかもしれない。だから、本物の物というのは、そう言う人が魂を込めて作ったものなのではないでしょうか。」
勝屋
「うんうん。」
高須賀
「follow your mindだよね。気持ちとか意志とか、そういう自分のmindに従えっていうことですね。」
——第1回ゲストプロフィール——
◆勝屋久(Hisashi Katsuya)
1962年4月11日、東京都生まれ。上智大学理工学部数学科卒業。
2000年IBM Venture Capital Group パートナー日本代表、経済産業省IPA 未踏IT人材発掘・育成事業 プロジェクトマネージャーなどを経て、現在に至る。12年間に2万人と出会い、接してきた世界中のおもしろい人とつながり、つなげる活動を通して「人と人の関わり方を見直すとステキな人生に激変する」ことを体験、その大切さを社会に伝えていく。勝屋久事務所代表・プロフェッショナル・コネクターとして活躍中。
◆高須賀宣(Toru Takasuka)
1966年8月12日、愛媛県生まれ。広島工業大学工学部経営工学科卒業。
1990年松下電工(現パナソニック電工)に入社後、1997年にグループウェア開発のサイボウズを設立。わずか4年7 カ月後の2002年3月には東京証券取引所2部上場と、当時の最短記録を更新。2006年に米国オレゴン州ポートランドにルナー(LUNARR)を設立、最高経営責任者に就任。現在は70億人に利用されるサービスの提供「アジト・プロジェクト」を展開中。